MTGArena 『灯争大戦』ランクドラフト7-0報告書 ~古き良き? 青白飛行ビート~
本日(2019/05/11)AM0時より開始の、灯争大戦ランクドラフトで、幸運にも7-0することが出来たので、簡単な報告を。
デッキは青白飛行ビート
でした。
これはリミテッドデッキにおいては灯争大戦に限らず、多くの環境に見られる形で、地上をタフネス偏重クリーチャーで固めて、青と白の飛行クリーチャーで勝ちを目指していくデッキの形です。
神話レア・レアカードは以下の三枚。
【永遠神ケフネト】と【時の一掃】は、文句なしのボムレアカード。
特に【時の一掃】は、七勝のうち、四勝ほどをこのカード一枚で決めたと言っても過言ではない、強力なカードでした。
アンコモンは以下の四枚。
【永遠衆の天空王】は言わずもがなの最強格アンコモン。時の一掃ともまあまあ相性が良くて、凶悪そのものでした。
また【太陽の義士、ファートリ】は、本人のカラーリングは緑白ですが、タフネス偏重生物の多い青白というカラーリングでは、特に強力なカードでした。
今回のデッキから学んだ事1 : 時の一掃(全体除去)は強し!
このデッキは、クリーチャーが15枚 それ以外のカードは8枚、土地17枚の配分でした。つまり、特にコントロールに寄せた訳でもなく、普通にクリーチャーで殴って勝つことを目指したデッキです。
そのため、場のクリーチャーをすべて破壊する【時の一掃】は、自分のクリーチャーを巻き添えに破壊してしまう可能性が高く、使えるタイミングの難しいカードになるかもしれないと予測していましたが、実際はそんなことはなく、【永遠神ケフネト】よりも遥かに強力なカードに感じる程でした。
まず、リミテッド環境において、多くの場合、レアカードはあまり警戒されません。
なぜかといえば、
1単純にピック出来る確率が低いから
2レアカードを意識しすぎると、展開に遅れが出て、テンポで負けてしまう
そのため必然的に時の一掃も警戒されづらいですし、実際、敵がこのカードを警戒してきたことは七戦で一度もありませんでした。
さらに、一度見せたら確実に二戦目以降は警戒されてしまうBO3ならともかく、一戦で終わりのランクドラフトならば、普段よりもさらに初見殺しカードが強力になります。
序盤を劣勢に進めているフリをして、相手がライフを詰めようとクリーチャーを大量展開したところにこのカードが刺されば、大抵のデッキはそれでゲームエンドです。
(ただし、クリーチャーを全く出さない。という大胆なプレイをすると、対戦相手にも警戒される可能性もあるので、適度にこちらもクリーチャーを展開していくことが重要だと感じました)
今回のデッキから学んだ事2 : 灯争大戦では、カウンターはやはり強い
このデッキの非クリーチャースペル8枚のうち、3枚はカウンタースペルでした。
普段の環境なら、少し多すぎるくらいですが、前回の記事でも触れた通り、
PWや永遠神といった、一度定着すると戦局が固まってしまうカードを防ぐのには、カウンターは非常に有効なカードです。
特に、今回使ってみて、元々はあまり好きではなかった【造反者潰し】の評価がグーンと上昇しました。
理由は2つ。
1、ボムカードは基本的に重いため、このカードの存在を気取られてしまっても、2マナ余分に支払うとなると、かなり展開が遅れる。
2,2マナ支払われてしまっても動員は出来る。
です。特に2つ目の事は今まで知らなかった(気づいてなかった)ので、目から鱗でした。
今回のデッキから学んだ事3 : ファートリは青白にて最強?
上の方で軽く触れましたが、改めて、【太陽の義士、ファートリ】というカードについて。
このカードは単純に強力なPWが多い中、さほど強力ではないPWに分類されると思います。
単体では何もせず、デッキに入っているクリーチャーとのシナジーだけがこのカードを運用する理由になるので、単純に色があっているからというだけで入れて良いカードではありません。
忠誠度能力も、押し込まれているときなら悪くありませんが、このカードを運用するなら、注目するのは常駐能力の【パワーではなくタフネス分、クリーチャーがダメージを与えるようになる】という方。
この能力、じつはファートリ自身のカラーである緑白よりもはるかに青白というカラーリングの時の方が強力だと感じました。
なぜかといえば
1:緑白は基本的に地上で殴るデッキでになりがちで、ファートリを引けなかったときにタフネス偏重クリーチャーはあまり強くないし、そもそも緑にはタフネス偏重クリーチャーが少ない。
2:青白というデッキの場合、タフネス偏重のクリーチャーはファートリなしでも『地上を止める』という役割を持てる
3:青色のタフネス偏重クリーチャーは強力なものが多い。
という三点からです。
【呪文持ちの奇魔】【突飛な幻想家】【アショクの潜伏者】といったカードは、普通の青白デッキでも喜んで入る上に、ファートリが入ると、それらが強力なフィニッシャーにも変化するのです。
反面、白のタフネス偏重クリーチャーはさほど強力ではないですが、種類が多く、青白というデッキの性質には合っているので、青白を目指すならピックしていきましょう。
ちなみに、【ルーンの壁】は防衛持ちなので、ファートリが場に出ても殴ることが出来ないことを忘れないようにしましょう。
灯争大戦 マッチドラフト雑感 ~5-0デッキのリストもあるよ~
5-0デッキの内容
今回、5-0出来たデッキは、以下の青黒タッチ白のコントロールデッキでした。
レアカードは【魂の占者】、【復讐に飢えた血王ソリン】、【永遠神の投入】
アンコモンは以下七枚です。
つまり、かなりのハイパーレアデッキでした。
5-0したと言っても、再現性は低いので参考にし辛いのですが……それがこの環境における答えでもあるのだと思っています。
つまり、
この環境はレア、アンコモン環境
もちろん、どんな環境でもレア、アンコモンは強いのですが、この環境には大量のプレインズウォーカーが存在しています。
当然、神話レアのそれに比べれば、レア、アンコモンのプレインズウォーカーは強さが劣るのですが、それにしても十分強力です。
そのため、レア、アンコモンの価値が通常よりも高く、当然それをより多く集めたデッキが強力になるというわけです。
一応、それに対抗するように、コモンカード達のカードパワーも高いのですが……
上記の通り、強力な【除去カード】がコモンに大量にあるのです。
よって、
除去が多い
↓
環境が遅くなる
↓
強力なレア(あるいは、プレインズウォーカー達)の入ったコントロールデッキが強い
という結論に至りました。
ちなみに、レアでは【人知を超えるものウギン】、アンコモンでは【死者の災厄、ケイヤ】が色を選びづらく(あるいは、全く選ばない)上に、能力が非常に強力なので、このカードが流れてきた時はほとんどの場合喜んでピックします。
結論
灯争大戦においては、上記のようなのカードをどれだけピック出来るのかが重要になります。
……が、強いカードが必ずしも流れてくる訳でもないので、以下からは、実践的な考えを述べていきます。
悩んだ時は、受けの広い青から取っていく
今回の環境で重要なキーワード能力は【増殖】と【動員】になりますが。それらがこの環境における青色の優位性を決定づけていると考えています。
【増殖】は、プレインズウォーカーの忠誠値を増やしたり、クリーチャーの上の+1/+1カウンターを増やす動きが強力で、うまくデッキを組み上げた場合、手がつけられない事になります。
そして、増殖は青、緑、白(+無色)のカードに与えられた能力です。
【動員】は軍団トークンを生成、+1カウンターを乗せていって成長させる能力になります。
サイズがどんどん大きくなる上に、軍団トークンに能力を与えるカードも多く、見た目以上に使い勝手が良いです。
そして、この能力が与えられている色はニコルボーラスの色、赤、青、黒の三色になります。
どちらも強力な能力で、ほとんどの場合、デッキにそれらのキーワード能力のカードが入ることになります。
そして、実は青色は五色の中で唯一、そのどちらのキーワード能力も有しています。そのために、デッキ構築の柔軟性が高いのです。
増殖が多めに取れた場合は、緑白と組み合わせて、クリーチャーに+1カウンターを乗せて増殖させるタイプのデッキに。
そして動員が多く取れた場合は赤青と組み合わせて、コントロールチックなデッキにするという形に出来るので、非常にピックの受けが広くなります。
というか、青色は受けが広い上に最強の色?
今回は多くのデッキが軍団というバウンスによって消滅するトークンを利用する関係上、クリーチャーを手札やデッキに戻すカードが普段よりも強力になります。
バウンスは青色の専売特許で、当然青色に一つアドバンテージが生まれます。
また、+1カウンターによって火力やマイナス修正で対処不能なサイズまで大きくなってしまったクリーチャーも、バウンスすればサイズが失われるので、普通のクリーチャーを手札に戻すとしても、普段の環境よりもやはり強力な動きとなります。
カウンターも場合によっては非常に強力
さらに、ボムレアが多い環境においては、ボムレアを対処可能なカウンターが相対的に強くなります。
これらのカードは(特に【退路なし】)は、メインボードでは少なくして、対戦相手のデッキに強力なプレインズウォーカーや、永遠神サイクルなどのカードが見えたときにサイドインすると、効果的な働きをします。
特に永遠神サイクルは非常に強力な能力、除去耐性を持ち、多くの場合ゲームを一枚で決めてしまうため、それらに対抗出来る【退路なし】は、サイドカードとして役に立つことが多いでしょう。
以上、灯争大戦の雑感でした。
MTGArena ラヴニカのギルドランクドラフト7-0記録 ~王者のボロスアグロ~
今回も、7-0デッキの紹介を簡単に行っていきたいと思います。
デッキリストは以下の通り。
ラヴニカのギルド環境で、基本的に最速を誇るボロスアグロデッキです。
今回のデッキは、レア・神話レアは栄光の好機、速太刀の援護者が一枚づつ。
アンコモンは、裁きの一撃、軍勢のギルド魔道士、真火の隊長の三枚になります。
比較的レア度の高いボロスデッキなので、あまり参考にならないのですが……
ともかく、7-0してみての感想を書き綴っていきます。
1 空騎士の軍団兵はベストコモン
七勝のうち、おそらく四勝はこのカードのおかげと言ってもいいくらいに、獅子奮迅の大活躍でした。
特に、ほとんど飛行クリーチャーの居ないゴルガリに対してはめっぽう強いです。
また、飛行速攻という奇襲性の高さも素晴らしく、単体では攻撃出来ないヴォジェクの護衛をあらかじめ展開しておいてから、このカードを出すという動きは相手の油断を誘うことが出来、奇襲性抜群です。
↓
2癒し手の鷹は、アグロ同系最強カード
ドラフト環境においては、1マナクリーチャーが強力であることは少ないのですが、この癒し手の鷹は話が別です。
一ターン目に展開すると、大抵二回か三回は攻撃が通る上に、教導でサイズを大きくすると、ライフレースは完全に崩壊します。
あとは、狂った怒りで2ターン目に3/3飛行絆魂という怪物スペックにする動きも、非常に強力です。
3教導を活かせる構築を
ラヴニカのギルドドラフトにおいて、最強のキーワード能力はおそらく教導だと思います。再活、諜報も強力であるのは間違いないのですが、教導という効果がうまく機能した場合は、他を寄せ付けない破壊力になります。
しかし、考えなしにデッキを組むと、これがうまく機能しない場合もあります。
ヴォジェクの護衛はともかく、上記のパルヘリオンの巡騎兵はパワーが2しかないので、教導先になる小さなクリーチャーが居ないと、少し物足りない性能になってしまいます。
そしてそのために、この環境においては、1マナクリーチャーの価値が比較的高いのです。上で説明した癒し手の鷹は当然、追われる証人も喜んでデッキに入るレベルですし、松明の急使も、十分にプレイアブルです。
また、教導クリーチャーと特別に相性が良いのは、最大速度です。
ソーサリータイミングでの+1/+1修正は、普通だとさほど嬉しくないのですが、教導というには、そのワンサイズが重要なために、相性が抜群です。
(ただ、さほどカードパワーは高くないですし、一枚で二回使えることから、このカードは入れるにしても、一枚に抑えた方が良いと思います)
ラヴニカのギルド:ランクドラフトで7-0出来たので、報告と感想
はい、7-0です。
本当ならデッキリストを表示させたいのですが、保存するのを忘れてしまったので、おおよその内容を載せていきます。
使ったデッキはアグロ型の殴るイゼットです。
当然感触は良かったのですが、以前からこのタイプのデッキは何度か組んでいて、個人的にはラヴニカのギルドドラフトにおけるかなりの強デッキではないかと感じています。
レアは上記三枚でした。が、上二枚はプレイ中に引いても一度も使用しなかったので、不要だったかもしれません。
アンコモンは薬術師の眼識一枚
あまりレアリティが高いデッキでもなかったのですが、
デッキとしては負ける気配がないほど強かったです。
イゼットアグロの要1 大量の2マナクリーチャー
イゼットアグロは、その名の通りアグロデッキなので、ともかく軽いクリーチャーが重要です。
この環境では、殴りやすい2マナクリーチャーが多いので、これらを2ターン目に出せるようにしたいです。
ただ、あまりタフネス1のクリーチャーばかりで固めていると、宇宙粒子砲を撃たれた時に致命傷なので、気をつけましょう
(ちなみに、このカードもイゼットアグロとは相性が良いです。一枚までなら喜んでデッキに入れましょう)
また、通過の達人やゴブリンの雷術士などは、自身は殴りやすい訳ではないものの、
他のクリーチャーやスペルとのシナジーがあって強力となります。
イゼットアグロの要2 コンバットトリック
コンバットトリックにもいくつか種類が存在しますが、イゼットアグロを使用する上で、コモンのカードで強力なのは以下の二種だと感じました。
特に、音波攻撃は見た目以上に強力なカードです。
ゴルガリやセレズニア、ディミーアは、大型クリーチャーで盤面を止めに来ることが多いので、それをタップしながらダメージを与える。反対に、ボロス等のアグロデッキを相手にする際は、教導クリーチャーをコンバット前に寝かせて、テンポを崩しながら、ダメージレースを差し切ることが出来ます。
それに、再活によって四点のダメージが与えられる点も便利です。
正直、使ってみるまではかなり弱そうなカードだと思っていたのですが、実際使ってみると、デッキに三枚までなら入れても良いくらいには強力だと感じました。
(7-0デッキには二枚入っていましたが、このカードが多くのゲームを決めました)
イゼットアグロの要3 飛行クリーチャーは重要ではない
詩神のドレイクや、霧から見張るものは、ディミーアや、コントロール型のイゼットでは強力なカードです。手札の質を高めながら、空から殴ることが出来ます。
しかし飛行クリーチャーが強くなるのは、基本的には盤面が膠着した場面。
ましてや、飛行クリーチャーはコストが重いため、引いてしまうとテンポが悪くなりますし、コストの割に攻撃力は抑えめです。
イゼットアグロで(コモンで)唯一デッキに喜んで入る飛行クリーチャーが飛び蛙です。
(まあ、普段は飛んでいませんが……)
このカードは打点が高い上に、再活呪文の存在で条件達成は比較的容易になりますから、結構な確率で空を飛んでくれます。
以上、簡単にでしたが、イゼットアグロのススメでした。
MTGArena BO1という存在~第二弾 コントロールの最適解は? 二色の組み合わせを考える~
はじめに
dokusyotarou1929.hatenablog.com
上記の前回記事で、現環境(イクサラン~ラヴニカの献身)におけるBO1で、エスパーコントロールが最も人気で、強いデッキの一つと紹介したが、同時に三色デッキにはマナベースに僅かな欠点が存在することを解説した。
そこで今回は、前回の記事を踏まえて、現環境における二色(あるいは一色の)コントロールデッキの構想を練っていこうと思う。
コントロールに求められるものはなにか?
基本的に、コントロールデッキというものは
・あらゆるデッキの中で、最も勝利までが遠く、勝ち筋となるカードが少ない
・相手の妨害を重要視しているため、環境に適合したデッキが求められる
・青+1色か、青+2色という色選択がほとんど。よほどの理由がない限り、青が外れることはない
そしてコントロールデッキを作る場合、必要になるのは大きく分けて3つ。
1敵が使用するカードを無効化する手段
2アドバンテージを稼ぎ、試合を常に優位に進める手段
3ゲームに勝利する手段
このどれが欠けても勝利は難しく、その配分が重要になるが、基本的に上に行くほど重要性が高くなる。
そこで、一度色の役割と照らし合わせて考えてみよう。
青+1色のパターンで組んだ場合、それぞれの強みと弱み
単純に色の数を減らすというアプローチによって、デッキの安定性を増すという手法を考える場合、それぞれ二色でコントロールを組んだ場合、どんな欠点があり、どんな強みがあるのかを考えていく。
赤・赤青
火力の色。
クリーチャーは速攻など、攻撃的な性能を持ったものが多い。
呪文については、直接ダメージを与えるものが多い。
アドバンテージを稼ぐのは不得意。
(と言っても、現在の赤単を見るに、必ずしもそうだとも言えないが)
現環境においては、イゼットカラーに強力なフィニッシャーカード(ニヴミゼット・発展//発破)が存在しているため、コントロールとしての選択肢では有力。
パルン、ニヴ=ミゼット/Niv-Mizzet, Parun - MTG Wiki
」
発展+発破/Expansion+Explosion - MTG Wiki
ただし、赤単色の全体除去は少し物足りない性能。
絶滅の星はアグロには間に合わないことが多いし、
焦熱の連続砲撃は、二点というのが物足りない上に、環境に海賊がそこそこ居るため、効果にかなりムラがある。
絶滅の星/Star of Extinction - MTG Wiki
焦熱の連続砲撃/Fiery Cannonade - MTG Wiki
総評
単体除去が多いため、クリーチャーデッキに対してそれなりに戦えるだろうし、
コントロールデッキに対して強いパルンが居るので、それなりにデッキにはなりうるかもしれない。
しかし、ライフゲイン要素がないのが不安。本体火力が大量にある赤単に対して勝ち筋があるのか?(あと、実験の狂乱も破壊することが出来ない)
青
ザ・コントロールカラー。
コントロールデッキは、基本的に青が含まれていることがほとんど。
クリーチャーサイズは控えめながら、トリッキーなものが多い。
最も得意なことはドロー。ともかくドロー。 さらに打ち消し。
相手にさせたいことをさせない色。それが青。
薬術師の眼識/Chemister's Insight - MTG Wiki
悪意ある妨害/Sinister Sabotage - MTG Wiki
ただ、破壊したり、追放したりということができず、盤面に触る手段はバウンスのみ。
そのため、単色でコントロールするのはほとんど不可能。
ただし、フィニッシャーは居ないこともない。
原初の潮流、ネザール/Nezahal, Primal Tide - MTG Wiki
総評
一度場に出た脅威を対処するのが難しいので、青単色のコントロールデッキというのは、ほぼ不可能だろう。
ただ、青単アグロというクロック・パーミッションデッキは環境でも
緑・青緑
クリーチャーの色、
ともかくクリーチャーが大きい。
呪文は、土地加速を得意としている。
基本的に、コントロールデッキから一番遠い色で、選択肢に入ることはあまりないが、
コンボ寄りのコントールデッキ(ティムール荒野の再生)では緑が使われている。
成長のらせん/Growth Spiral - MTG Wiki
荒野の再生/Wilderness Reclamation - MTG Wiki
総評
青にも緑にも除去呪文がないため、普通のコントロールデッキを組むのは不可能だろう。
しかし、クリーチャーをカウンターなどでバックアップしながら戦うクロック・パーミッション型のデッキなら組むことは可能かもしれない。
白・青白
白は最も器用な色とされている。
クリーチャーも強ければ、呪文も強い。
すべてのパーマネントに触ることが可能な上に、追放もできるため、一色で多くの役割を持つことができる。
イクサランの束縛/Ixalan's Binding - MTG Wiki
特に、全体除去が多いことが特徴で、コントロールとの相性は抜群。
残骸の漂着/Settle the Wreckage - MTG Wiki
浄化の輝き/Cleansing Nova - MTG Wiki
また、白はライフゲインを得意とする色なので、ライフを狙う赤単がトップメタであるBO1では、有力な選択肢になる。
ドビンの鋭感/Dovin's Acuity - MTG Wiki
そして何よりも、白には彼が居る
「」
ドミナリアの英雄、テフェリー/Teferi, Hero of Dominaria - MTG Wiki
現在のスタンダード環境におけるコントロール向きの最強プレインズウォーカー。
プラス能力でアドバンテージを稼ぎ、
マイナスで脅威を排除、
奥義は相手の勝ち筋をほぼ完全に奪ってしまう。
そして実はこのカードは自身をデッキに戻すことが可能なため、このカードによって自分がライブラリアウトすることがなくなるために、なんとこのカードは一枚でコントロールデッキが要求するすべての役割を果たす。
ドミナリアが発売されたときは青白コントロールに、ラヴニカのギルドが発売されたときにはジェスカイコントロールにそれぞれこのカードが使用されていたことから考えるに、このカードがスタンダード環境に居る限り、コントロールデッキは青白の二色が軸であり続ける可能性が高い。
総評
十分にデッキを組むことは可能だろう。
ライフゲインによって赤単に対しても十分戦えるし、テフェリーというスーパーカードも存在している。
黒・青黒
黒は除去とハンデスの色。
肉議場の叫びや、煤の儀式と、単色でもそれなりに強力な全体除去が多い。
ただし、弱点として黒は置物(アーティファクトとエンチャント) を破壊出来ないこと。
煤の儀式/Ritual of Soot - MTG Wiki
思考消去/Thought Erasure - MTG Wiki
そして前回の記事でも紹介した、首謀者の収得。
このカードもまた黒を使う大きな理由の一つになるだろう。
首謀者の収得/Mastermind's Acquisition - MTG Wiki
総評
ハンデス、除去、打ち消し、ドローと、コントロールに必要なものがおよそ揃っているため、デッキを組むことは十分可能だろう。
それに首謀者の収得が使えるため、対応力も高くなる。
最後に
だいぶ記事が長くなってしまったので、今回は一旦ここまで。
次回以降は今回紹介した色のいずれかでコントロールデッキを組んでみて、実際の手応えを確かめていこうと思う。
MTGArena BO1という存在~エスパーコントロールが最強なのか?~
BO1の世界大会
先日、マジック史上初のMTGAを用いた、BO1の大会、ミシックインビテーショナルが開催された。
優勝者はアンドレア・メングッチ選手。彼が使用したのは、「白単」と「エスパーコントロール」だった。
ミシックインビテーショナル・メタゲームブレイクダウンより
アーキタイプ 使用者数 使用率 エスパー・コントロール 36 28.13% 白単アグロ 27 21.09% 赤単アグロ 17 13.28% エスパー「ドビンの鋭感」 9 7.03% グルール・戦士 6 4.69% ティムール「荒野の再生」 6 4.69% グルール・アグロ 5 3.91% ゴルガリ・探検 4 3.13% 赤黒絢爛 4 3.13% セレズニア・トークン 3 2.34% ジャンド・戦士 2 1.56% https://mtg-jp.com/coverage/mythicinvitational/article/0032266/
上記は、ミシックインビテーショナルにおけるメタゲーム。
デュオスタンという競技ルールの特異性を考慮しても、
これはBO1世界のメタゲームを考える上で十分に価値のある資料になるだろう。
また、使用率というのは持ち込まれたすべてのデッキに占める割合のことなので、
一人のプレーヤーが2つのデッキを持ち込むというシステムを考えると、この倍程度の値が(同じデッキを選択するプレーヤーも居たため、厳密には違うが)、おおよそ実際に持ち込まれた割合になる。
つまり、エスパーコントロールは50%以上のプレイヤーに選ばれ、ドビンの鋭感型も含めると、約七割のプレーヤーがエスパーコントロールを選択した事となる。
ということは、BO1世界における最適解はエスパーコントロールなのだろうか?
BO3との違いから考える
そもそも、BO3とBO1は(当然ながら)ルールが違うが、カードブールは全く同じである。
ならばBO3で強いデッキがBO1でも同様に強いのだろうか?
同じように考えても良いのか?
これについては、はっきりとNOと言える。
アーキタイプ 使用者数 使用率 スゥルタイ・ミッドレンジ 107 21.5% ネクサス 71 14.3% 白アグロ 62 12.4% 青単テンポ 60 12% エスパー・コントロール 45 9% イゼット・ドレイク 30 6% 赤アグロ 28 5.6% ラクドス・ミッドレンジ 18 3.6% セレズニア・トークン 10 2% グルール・ミッドレンジ 10 2% ティムール「荒野の再生」 9 1.8% イゼット・フェニックス 7 1.4% エスパー・ミッドレンジ 5 1% グリクシス・ミッドレンジ 5 1% ゲート・ミッドレンジ 4 0.8% マルドゥ・アグロ 4 0.8% アブザン・天使 3 0.6% ゴルガリ・ミッドレンジ 3 0.6% マーフォーク 3 0.6% シミック・ミッドレンジ 3 0.6% バント・ミッドレンジ 2 0.4% ディミーア・ミッドレンジ 2 0.4% ジャンド・ミッドレンジ 2 0.4% ミシックチャンピオンシップ・クリーブランド2019 初日メタゲームブレイクダウンhttps://mtg-jp.com/coverage/mccle19/article/0031764/
上記はミシックインビテーショナルの少し前に開催されたBO3の世界大会、MCクリープランドのメタゲームである。
ご覧の通り、使えるカードは同じはずなのに、メタゲームは全く違う。
二番目に数が多いネクサスは、「運命の絆」の禁止によりBO1で使用できないため当然の事としても、BO1では最大勢力を誇ったエスパーコントロールは、五位に落ちている。
使用率 一位に輝いたのは、スゥルタイミッドレンジ。
このデッキは環境における王者として、大会前から注目されていて、実際に使用率も高かった。
しかし、BO1の世界においては、その姿は見られない。
というよりも、BO1環境にはスゥルタイを含むミッドレンジデッキがほぼ存在していない。
ミッドレンジデッキとは、メインボードはすべてのデッキに4割から4.5割ほどの勝率になるような器用貧乏な構成が多く、サイドボード後に本領を発揮するタイプのデッキとされている。
となると当然、メインボード一本勝負では、すべてのデッキに対してあまり強くないデッキでしかない。
そして王者とされるスゥルタイに強いとされ、MCでは使用率四位を誇り、優勝を飾った青単もまた、BO1の世界ではあまり目立たない。
理由は明白で、「相性が有利なスゥルタイがほぼ存在しない」「自分よりも早いデッキに弱い」という性質を持つ青単は、赤単と白単の数が多いBO1ではさほど強いデッキではないからだ。
エスパーコントロールというデッキの特異性
それはもちろん環境に大量に存在するアグロデッキに対する対応力の高さ、メタゲーム上の立ち位置の良さが理由だが、実はそれだけではないように思える。
実は、エスパーコントロールには、とある特殊なカードが入っている。
ミシックインビテーショナルの大会期間中、何度もこのカードが唱えられてきたが、BO3の大会ではほとんど目にすることがなかったカード。
首謀者の収得である。
このソーサリーカードは四マナを使用して、好きなカードを一枚サーチするだけのカードだ。
サーチできるのはデッキか、ゲーム外部=サイドボードからである。
(ちなみに、追放領域とゲーム外部は別物なので注意)
BO1というゲームは、サイドボードがない分、デッキの枚数が普通より十五枚少なく、デッキの対応力は必然的にその分下がる。
よって、デッキは基本的に受けるものよりも押し付けるものの方が強くなる。
つまり受ける側であるコントロールは不利になるはずである。
どれか一つのデッキの対策に力を注げば、他が疎かになるからだ。
しかしこのカードの入っているエスパーコントロールは話が少し異なる。サイドカード15枚を自由に使えるのだから、特定のデッキに強いカードをサイドボードに詰め込んでおけば、メインボードから相性差を改善できる。
いわば、環境の穴をついた特異点デッキ。それがエスパーコントロールだろう。
しかし、それでもエスパーは最強ではない?
エスパーコントロールは、「コンボ、ミッドレンジの不在により対策すべきデッキが少ない」「メインボードでサイドカードを使用できる」という利点から、強力なデッキであることに間違いはない。そして相性不利とされる「シミックネクサス」の不在により、圧倒的な勝ち組に登り上がった。
しかし、本当にエスパーコントロールが文句なしに最強ならば、同じデッキの使用が許されるデユオスタンという環境において、「エスパーコントロール」+「エスパーコントロール」を選ぶのが良いのでは? という結論に至らなければおかしい。
しかし実際にその選択をした人間はほとんど居なかったし、ミシックインビテーショナル準優勝のカニスター選手は「青単」と「赤単」という2つのエスパーではないデッキで決勝にまで上り詰めた。
つまり、エスパーコントロールが強いのは間違いないが、絶対的ではない。
エスパーの弱点:強烈なマナ拘束
二色土地24枚+基本土地2枚の土地二十六枚がMTGアリーナでよく見る形だが、
こうなると、それぞれの色が出る土地はほとんど均等な三色という形になる。
マナ拘束が厳しい上に、スロットはほとんど除去で埋まっているために、「選択」や「予期」のような軽量ドローサポートもなし。
このデッキは「回れば」理論上最強だが、マジックはそう簡単ではない。
「ケイヤの怒り」が必ずしも四ターン目に打てるわけではないし、「肉議場の叫び」が三ターン目に打てるわけでもない。そして、最大の仮想敵である赤単、白単、青単といった単色アグロデッキは安定したマナベースによって序盤の展開がまごつくことはほぼない。
つまり、いくら対策をほどこしたとして、三色デッキは単色デッキよりもハンドに求められる基準が高くなるという自明の欠点があるし、BO1はBO3よりも事故による影響が大きい。BO3なら三回に一回は事故で負けても残り二本を取れば勝利となるが、BO1ならゲームを落とす=終了だから。
結論:エスパーコントロールは強力なデッキだが、最強ではない。
わかりきった結論だが、ということで今回の記事は締めようと思う。
ここまで長文にお付き合いありがとう。
次回は、なぜコントロールデッキのカラーがエスパー(青白黒)なのかについて考察していく予定だ。
※本文で使用したカード画像は公式サイトのカードギャラリーより引用